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養子の子に対して求められる養親の相続対策スキーム①

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養子の子に対して求められる養親の相続対策スキーム①

《相続権のないアパートをどう引き継ぐか》

 

 2009年の春に、資産家のAさんは、日ごろからよく利用している金融機関Xに対し、「現在、貸家の建っている土地を所有しているが、それを取り壊してアパートを建てたい。駅前にある土地で、ハウスメーカーも家賃保証を付けると言っている。アパートに関しては建築用の自己資金を2000万円ほど投入する予定で、担保余力も十分にあると思う。自分が亡くなった後のアパート・土地およびアパートローンの承継予定者については、同居している養子のBを考えており、Bには配偶者C(Bと同じく、Aの養子)と子のD(長男)・E(二男)がいる。ついてはアパートの建築資金を融資してもらえないか」との相談を持ち掛けた。

 

 金融機関Xの担当者は、Aさんの担保に問題がないこと、およびAさんの戸籍謄本により、BさんとCさんが養子縁組によるAさんの子であることを確認できたので、今後の相続によるアパートの承継に関しても問題ないと判断した。その後、審査部の決済を経て、金融機関XからAさんに対し、建築資金8000万円が融資され、2010年に新しいアパートが建てられた。

 

 それから10年後の2020年に、Aさんは交通事故で亡くなったが(享年90歳)、その前年(2019年)にB夫婦も病気で死亡しており(享年62歳・60歳)、3人とも遺言は残していなかった。B夫婦の長男Dさんは、両親が亡くなった時にB夫婦がAさんの養子であることを初めて知ったが、それまで普通の家族のように暮らしており、二男のEさんも代襲相続人になると思っていたので、Eさんと2人で遺産分割協議を行い、アパート等に関してはDさんが承継する旨の遺産分割協議書を作成したが、「DさんおよびEさんは相続人ではありません。親戚の方7人が相続人となります」との理由で、この申請は受理されなかった。

 

 Dさんは同居していたAさんをおじいちゃんと呼んでおり、AさんもDさんを実の孫のようにかわいがっていた。Dさんは、両親であるB夫婦がAさんと養子縁組していたので、血がつながっていなくても当然孫という扱いになると思い込んでいたが、今後どのような手続きを踏めば、アパートを相続できるだろうかと悩んでいる。

 

 

※次回は対策を掲載予定です。

 

                              (KINZAIより)

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