介護保険の住所地特例制度②
3.住所地特例の概要
(1)対象施設
住所地特例の対象となるのは、次の施設です。
①介護保険施設
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設
・介護医療院
・介護療養型医療施設
②特定施設
・有料老人ホーム(有料老人ホームとしての届出をしたサービス付き高齢者住宅を含む)
・軽費老人ホーム
③養護老人ホーム
対象範囲は、介護保険制度の創設時には介護保険施設のみでしたが、段階的に広がり現在に至っています。
ただし、認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)などの地域密着型サービスのもとで設置される施設は対象外です。
具体的にはどの施設が住所地特例の対象となるのかについては、厚生労働省、都道府県、市町村のホームページにどで確認できます。
なお、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は根拠法が異なるため、1つの施設が「老人福祉法」に定める有料老人ホームと、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に定めるサービス付き高齢者向け住宅の両方に該当することがありますが、この場合、有料老人ホームであることをもって住所地特例の対象となります。
有料老人ホームとは、①介護(入浴、排せつ、食事)の提供、②食事の提供、③家事(洗濯、掃除等)の提供、④健康管理のいずれか1つ以上を行う施設のことです。
これに対し、サービス付き高齢者向け住宅は、少なくとも安否確認と生活相談サービスを提供する施設をいいます。
(2)給付
介護保険施設や特定施設入居者生活介護を行うサービス事業者としての指定を受けた有料老人ホームなどでは、施設サービスを受けることができます。
一方、サービス付き高齢者向け住宅はサービス事業者としての指定を受けていないことも多く、この場合は外部の事業者のサービスを受けることとなります。
この点、地域密着型サービスについては、本来は、当該サービスを提供する市町村と異なる市町村の被保険者は、介護保険給付として受けることができず、全額自己負担となります。
これは、地域密着型サービスが、高齢者の住み慣れた地域において身近な市町村が提供することが適切なサービスと位置付けられていることによるものです。
ただし、住所地特例が適用されている場合は、地域密着型サービスのうち、特定地域密着型サービス(訪問介護や通所介護など)については、介護保険給付としてサービスを受けることができます。
4.住所地特例の適用の手続き
住所地特例の適用に際しては、適用対象者であることを保険者となる市町村が確認できるように、被保険者、対象施設などが所定の手続きを行うこととされています。
5.住所地特例を巡る動向
住所地特例は介護保険における例外的な取り扱いですが、その一方で、対象施設の範囲は拡大されてきたという経緯があります。
でも、制度の適用実態を把握するとともに、高齢者の移住促進の観点も踏まえ、必要な措置を検討することが記載されました。
これは、介護保険施設の整備を図るという目的の他に、高齢者の移住を促進し、地域経済を活性化させることなどをにらんだものです。
例えば、現在指摘されている問題としては、対象施設に入所した後に、地域密着型サービスの認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)に入所すると、住所地特例の対象外となることが挙げられます。
この点については、保険者である市町村と施設が所在する市町村の間で合意が取れていれば、他の市町村の被保険者でも入所可能となる「区域外指定制度」という制度もありますが、合意形成が困難な場合も少なからずあり、必ずしも十分に活用されているとはいえません。
また、住所地特例、区域外指定共に市町村間の負担を調整するものといえますが、費用負担の調整という観点では、国や都道府県、第2号被保険者の保険料による支援も行われていることから、住所地特例の適用拡大については慎重に議論が進めれれています。
6.まとめ
住所地特例とは、対象施設への入所に伴い住所地の市町村が変わった場合に、引き続き入所前の住所地の市町村が実施する介護保険の被保険者となる制度です。
あくまでも例外的な取り扱いではありますが、高齢者の住居の選択が広がった今日では、高齢者の移住促進と相まって、適用されるケースは増加傾向にあります。
2回に分けて介護保険の住所地特例制度についてKINZAIから掲載させていただきました。
どこの施設に入っても良いわけではないことを知りませんでした。
介護保険が各市町村の制度なので、そうなんですけどね。
詳しいことは、是非、市役所でお尋ねください。
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☎︎0586-89-4152