相続税の概要②
債務控除
被相続人が残した借入金などの消極財産は、相続財産から控除することができます。
また、葬式費用は、被相続人の債務ではありませんが、相続に伴い必然的に生じる費用であるため、控除が認められています。
①債務
控除できるもの
・銀行借入金
・不動産などを買ったときの未払代金
・入院費などの未払医療費
・所得税、固定資産税などの未払税金
・個人事業を行っていた場合の事業上の借入金
控除できないもの
・墓地や墓石など、生前に非課税財産を買ったときの未払代金
・保証債務(主たる債務者が弁済不能のときは控除できる)
・遺言執行費用、税理士に対する相続税申告費用
②葬式費用
控除できるもの
・葬式、埋葬、火葬、納骨の回送に要した費用
・通夜に要した費用
・お寺へのお布施、戒名料
・死体の捜索、運搬費用
控除できないもの
・香典返戻費用
・死後の墓地などの購入費用
・法要費用(初七日、四十九日など)
・死体の解剖に要した費用
相続税の申告
(1)申告書の提出義務者
課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下である場合は、原則として被相続人から相続または遺贈により財産を取得したどの者も相続税の申告をする必要はありません。
(2)申告書の提出期限・提出先
相続税の申告書の提出義務のある者は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に、原則として被相続人の死亡の時における住所地の所轄税務署長宛に申告書を提出しなければなりません。
相続税の申告書を提出しなければならない者が2人以上いる場合は、共同して提出することができます。
相続時精算課税制度の適用を受けていた者で、相続税額から控除しきれない譲与税額の還付を受ける場合にも、相続税の申告が必要です。
なお、配偶者に対する税額軽減の適用を受けるためには、申告書の提出までに遺産分割により取得者が確定していることが前提条件となります。
(3)相続税以外の税務処理
被相続人が会社役員であれば株主総会において役員変更をして商業登記をする必要があり、代表者であれば代表者の住所変更登記、税務署等への代表者の変更届け出が必要となります。
また、確定申告をすべき被相続人の相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に被相続人の所得税の準確定申告書と申告書付表を所轄税務署長に提出する必要があります。これを「準確定申告」といいます。
相続税の納付
相続税の納付期限は、申告期限と同じ(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内)です。
相続税の納付は、原則として金銭による一括納付とされていますが、一定の要件のもと、延納と物納が認められています。
①延納
金銭一括納付が困難で、納付すべき相続税額が10万円超の場合、申告期限までに延納申請書を提出し、許可を受けることで、分割で納めることができます。
原則、延納期間は最長5年(不動産の割合が一定以上の場合は最長20年)で、利子税の負担もあります。
原則は担保が必要も、延納税額100万円以下かつ延納期間3年以下の場合、担保は不要とされています。
担保は、相続財産に限らず、相続人固有の財産でも、第三者が所有する財産でも構いません。
②物納
金銭一括納付や延納による納付が困難な場合、申告期限までに物納申請書を提出し、きゃかを受けることで、納付を困難とする金額を限度にモノで納めることができます。
なお、物納により納付が完了するまでの間は、利子税を負担することになります。
物納できる財産(物納適格財産)は、相続税の課税価格に算入された財産で、かつ、日本国内にあるものに限られており、順位や財産の種類が定められています。
※KINNZAIに掲載の内容を一部抜粋し2回に分けて掲載いたしましたが、詳しくは専門家に相談ください。
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