不動産を考える
今回も、投資についてKINNZAIにて連載していらっしゃる方が、不動産について気になる記事を掲載されていましたので、一部抜粋してご紹介させていただきます。
不動産は老後に向けた資産形成の手段となるか?
10~20年前、投資家向けセミナーで、「不動産は老後の資産ですよね。どう思われますか?」とよく質問を受けました。私はこの質問の持っている意味は2つあると思います。一つは「老後の資産を創り上げる投資対象として不動産は有効か」という意味と、もう一つは「老後になって不動産は生活を支える資産になるか」という2つの意味です。
前者に関していえば、不動産そのものを投資対象として考える人は数少ないはずです。一般的に自宅を購入するのが精いっぱいで、不動産投資をする場合にはそれなりの資産が必要だからです。もちろん、最近では不動産投資信託から、不動産を老後のための資産形成手段として組み入れる方は多くなっているはずです。その意味で、最近この質問をされることが減ってきているのはうなずけます。
住宅は老後の生活資金になるか?
一方で後者、すなわち老後の資産として不動産は使えるかという質問に対して、私は「その不動産は切り売りできますか?もし切り売りできるなら老後の資産として考えていいと思います」と回答しています。
確かに住宅は大切な財産です。私自身も30年前には「娘を借家から嫁に出したくない」という古い考えに陥っていましたから、家を買うことで何か大切な一歩をしるした気持ちになったのは確かです。また住宅があれば、老後の生活において、少なくとも「住む」ということだけでも確保できるという感覚はありました。
しかし、今となって振り返ってみると、住宅は「老後の資産」と考えることは否定的にならざるを得ません。そもそも老後の資産というものが、「老後の生活の必要資金を賄うもの」であれば、その資産は毎年少しずつ取り崩して使えなければ、その資産は毎年少しずつ取り崩して使えなければ意味がありません。自分が住んでいるとなればなおさら難しいはずです。
もちろん住宅を少しずつ取り崩して使っていく方法もあります。それが住んでいる住宅を担保にして融資を受ける「リバース・モーゲージ」です。住宅ローンを組むのと反対の資金フローだと思えばいいわけですが、実際に活用するとなると簡単ではありません。その担保の多くが土地であることからマンションは扱いにくく、一戸建てが中心となります。しかも建物は劣化が激しいことから担保の掛け目もかなり激しくなります。土地のウエイトが少ないマンションではさらに難しいところです。
住宅は賃貸すべきか購入すべきか?
ところで最近は「住宅は資産か」という質問をうけることはほとんどなくなりましたが、代わりに「住宅は賃貸すべきか、購入すべきか」といった質問を受けるようになりました。私は「退職まではどちらでも構わないが、退職したら住宅資産を持つべきだろう」と答えています。
現役時代は、転勤が多ければ住宅資産を購入するのはあまり効率的ではありません。結婚・離婚とか、家族が増えるとか、子供が自立するといった環境の変化にあわせて、住む家を変える方が効率的な生活ができそうです。そのため賃貸の方が有利になる場合が多いはずです。購入する場合には買い替えが発生することを前提にした方がいいでしょう。そうしたことを前提に家賃と住宅ローンの返済との比較で、有利の方を選択すべきだと思います。
子どもが3人いる私は、実はマンションを3度買い替えました。最初のマンションは心理的な要因もあって買うことそのものが優先事項でした。次のマンションは、子供がそれぞれの個室を持てるよう、郊外で通勤時間が1時間を大きく超えても広いサイズが必要でした。そして子どもが独立して夫婦2人になって手狭でも通勤や娯楽に便利な都心に近い所へと移り住んでいます。
問題はここからでしょう。自分は退職金で住宅ローンが完済してしまえば、その資産が終の棲家への買い替え資産にもなり得るだろうと想定しています。一般的に考えれば、退職したらいつまでも賃貸で生活するのは厳しくなります。賃貸の契約を家主側が拒否するといった事例もあるようですし、いつまでも家賃を払い続ける生活そのものを圧迫する懸念もあるからです。最後の段階では、家を購入する必要が出てくると思います。もちろん、その時点が有料老人ホームへの入居という形で訪れるかもしれません。また、いつがその時期になるかも分かりません。ただ、最後は住宅という資産が必要になるのではないかと思います。そのための資産を創り上げておくことも必要になるでしょう。
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