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里道の取得手続き

 2015年の改正相続法の施工を機に、富裕層の間では相続税対策のニーズが強くなっています。相続税対策の一環として、遊休地にアパート等を建築する節税手法は、富裕層・地主の間ではおなじみの節税対策と言っても過言ではないでしょう。ところが、このような収益不動産の建築時に「里道」が発見されたために、計画がストップしてしまう事態は決して珍しくありません。

 

 今回はKINNZAIから里道についての取得手続きの記事を抜粋してご紹介させていただきます。

 

1.里道の概念

(1)里道の意義

 里道とは、①道路法による道路に認定されていない、いわゆる認定外道路のうち、②旧土地台帳附属地図上において赤線で表示されているものをいいます。旧土地台帳附属地図上において赤線で表示されることから、アカミチと呼ばれることもあります。里道は、公図において地番の付されていない細長い土地として表示されます。現地において、特に道路として利用している土地がないにもかかわらず、公図においてこのような土地が発見された場合は、里道が存在している可能性があります。

 

(2)里道の成立過程

ア①認定外道路となった経緯

 旧道路法によって、里道のうち重要なものは県道または都道に指定され、それ以外の里道については市町村道として指定されることになりました。しかし、里道の数があまりにも多かったため、市町村は全ての里道を市町村道として指定することはありませんでした。市町村道として指定されなかったということは、道路法上の道路ではないということになります。これが、里道が認定外道路となった経緯です。

 

イ②赤線で表示されることとなった経緯

 明治時代に、地租改正条例が公布され、全国的に土地の測量や地番の交付がされ、旧土地台帳附属地図の一つである地租改正地引絵図が作成されました。そして、公衆の用に供する道路については官有地に編入することとされ、官有地に編入された道路は色分ケスヘキコトと定められたため、赤色の線で表示されることとなりました。これが、里道が旧土地台帳附属地図上において赤線で表示されることとなった経緯です。

 

2.里道の取得手続

(1)里道の問題点

 里道は公共物ですので、私人の所有権は及びません。そのため、里道上に建物を適法に建築するためには、基本的には、里道の所有権を取得する必要があります。しかし、実際は、自己の所有地に里道が存在していることをそもそも知らないといった事態が比較的多く存在します。建物を建築したが、敷地の一部が里道であったということが後から判明した場合、里道の所有者である国または地方公共団体からは、不法占有者の排除のための手続きが行われる可能性があります。

 従って、土地の有効活用を検討する際には、里道が含まれていないかを事前に調査し、もし含まれている場合は、取得手続をとることになります。

 

(2)用途廃止手続

 私人が、公共用財産である里道の払い下げを受けようとしても、公共用財産のままでは払い下げを受けることはできません。払い下げを受けるためには、国または地方公共団体が公用廃止を行い、普通財産へと転換する必要があります。

 行政が、当該里道についての公用廃止を行うか否かは、行政の裁量に委ねられています。従って、私人が公用廃止の申請をしたとしても、それは専ら職権発動を促すに過ぎず、行政には当該申請に応じなければならないという義務はありません。

 

(3)払い下げ手続

 行政が当該里道について公用廃止を決定した場合は、続いて当該里道の払い下げを申請することになります。払い下げについても、行政が払い下げを行うか否かの裁量を有しているため、私人からの払い下げ申請があったからといって、これに応じなければならないという義務がありません。

 しかし、行政が里道を保有していても、税収があるわけではなく、さらには管理上のコストもかかるため、行政側に特にメリットがありません。行政としては、里道を私人に払い下げれば、売却代金を得ることができますし、さらにそれ以降の固定資産税も納付してもらえるというメリットがあります。

 

(4)払い下げを受けるための準備

ア境界の確定

 まずは里道の境界を確定させておく必要があります。

イ同意書の取得

 次に、払い下げを希望する里道に接している土地の全ての所有者から、公用廃止を受けることおよび申請人が当該里道の払い下げを受けることについての同意書を取得する必要があります。

 同意書を取得するのは、「里道を道路として使用している人がいないか」「里道の払い下げを希望する人が他にいないか」を確認することがその目的となります。

 

3.里道の時効取得

 今まで里道の払い下げ手続きについて解説しましたが、境界の確定や隣地土地所有者からの同意書の取得など、相手方のある話なので思うように進まないケースもあります。

 このような事情を考えると、「里道の時効取得」が認められる場合には、時効取得の方法によることが考えられます。時効取得の方法であれば、隣接土地所有者の同意の有無にかかわらず、時効取得の要件さえ満たせば、里道を取得することができます。

 

 

 里道の取得を検討している場合は、払い下げではなく、まずは時効取得の方向で考えてみるのも良さそうです。

 公用廃止の申請や払い下げ申請に先立って、時効取得の要件を満たしているかどうかを確認してみましょう。

 全て自己の敷地と思っていた土地内に里道が入っており、どうしたものかと思われた時は、ご相談ください。

 他にも不動産に関するお悩みがございましたら、気軽にお声をかけてくださいね。

 

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