身寄りがなく自治体の火葬が増加
厚生労働省の統計では、法律に基づいて自治体が「葬祭扶助」として葬祭費を負担した件数は、1989年度の1万3094件を境に増加している。2022年度は5万2616件となりました。
1970年代は減少傾向が続いていましたが、1人暮らしの高齢者の増加などを背景に増え続けています。
火葬を含む葬祭費は国と自治体が一定の割合で負担しています。
愛知県岡崎市で昨年11月に見つかった遺体は身寄りのない高齢男性2人で、建物内のひつぎから発見。自治体が引き取り手を探しています。
岐阜市は今年2月、死後事務マニュアルを見直し、規定がなかった火葬までの目標期間を「原則2ヵ月」と明記しました。
担当者は「議会からの「死者の尊厳を守る必要がある」との指摘に対応した」と話しました。
名古屋市では、引き取り手のいない市民13人の遺体を最長3年4ヵ月、火葬しなかったことが判明しました。
市は、目安がなかった火葬を終えるまでの期間を「原則1カ月以内」としました。
この影響で、生活保護受給者らを除いた同市の葬儀執行件数は21年度の180件から22年度は256件と急増しています。
葬祭費の公費支出は1300万円から2千万円に増えました。
担当者は「葬儀以外にも、故人の家の片付けなどが負担となり、法定相続人になかなか遺体を引き取ってもらえない」と明かしています。
国は2021年、身寄りのない人が無くなった場合に残った預貯金をはじめとする「遺留金」の扱いなどを定めた自治体向けの手引きをつくりました。
親族探し難航も
身寄りがない人が亡くなった場合、法律に基づいて原則、死亡地の市区町村が戸籍をたどって親族を探すことになります。
身寄りが見つからなかったり、遺体の引き取りを拒否されたりすると、市区町村が遺体を引き取り、葬儀、火葬・埋葬をします。
「遺留金」の扱いなどを定めた国の手引きでは、身寄りのない遺体の親族調査の範囲などは実情に合わせて「各自治体の判断」としています。
各市区町村が戸籍の取り寄せや親族への連絡などをし、調査に時間がかかることもあります。
市区町村が葬儀を行う場合には、通夜や告別式をせず遺体安置場所から火葬場へ運ぶ形式が多いです。
火葬後の遺骨は、自治体によって保管の期間や場所を決めているところもあり、火葬後の親族の調査を続ける自治体もあります。
埋火葬の費用は自治体が遺留金品を充当し、不足分を公費から支出します。
多くの自治体で遺骨を一定期間保管し、その後、他の骨と合葬します。
行政が管理する納骨堂などに安置します。
引き取り手のない遺骨が各市区町村の庁舎などで計6万柱保管されていることが昨年、総務省の調査で判明しています。
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